総務省幹部が、菅義偉首相の長男が勤める「東北新社」から接待を受けていた問題で、既に判明している4名の官僚の他に、新たに11名の官僚職員が同社関係者と会食し接待を受けていたことが判明しました。
このうち山田真貴子(やまだ まきこ)内閣広報官も、総務省の総務審議官だった2019年11月、菅総理の長男らから飲食代7万4203円の接待を受けていたことが分かりました。
山田真貴子氏との会食は19年11月6日、東京・虎ノ門で開催され、東北新社側からは菅総理の長男・正剛氏を含む計4名が出席し、費用は東北新社側が負担していたといいます。
山田真貴子氏といえば、2020年9月16日に、菅内閣のもとで女性初の内閣広報官に就任したことで話題になりました。
しかし同年10月26日、菅総理が出演した「NHK」の報道番組の中で、NHKの看板キャスターである有馬嘉男(ありま よしお)氏が菅総理に日本学術会議会員の任命問題について詰め寄ったことに対し、山田真貴子氏がNHKに電話クレームを入れ、結果的に有馬キャスターを番組降板に追いやり圧力をかけた疑いがもたれています。
山田真貴子氏の「NHK圧力電話疑惑」について詳しくみてみます。
山田真貴子はNHKに電話クレームで圧力?
2020年10月26日、NHKの看板報道番組『ニュースウォッチ9』に菅義偉総理が出演した際、有馬嘉男キャスターが菅総理に、同年9月に問題になった日本学術会議会員の任命問題について、
「もう少しわかりやすい言葉で、総理自身、説明される必要があるんじゃないですか?」
「説明がほしいという国民の声もあるようには思うのですが」
と食い下がって質問しました。
これに対して菅総理は
「説明できることとできないことってあるんじゃないでしょうか」
と逆ギレ気味に回答。
その時の動画がこちらです。
現職の総理大臣が勝手にキレてNHKの看板キャスターがこの3月に降板させられる。何という理不尽
pic.twitter.com/z5uoljHhdR— 君に届け!滑稽新聞 (@akasakaromantei) February 22, 2021
当時有馬キャスターはジャーナリストとして、日本学術会議が推薦した会員候補のうち一部を任命しなかった菅総理の理由説明を求める世論を代弁して問いかけただけなので、問題ないように思いますが…
この放送の翌日、山田真貴子内閣広報官がNHKに対して、
「総理、怒っていますよ」
「あんなに突っ込むなんて、事前の打ち合わせと違う。どうかと思います」
と恫喝めいた抗議の電話をかけてきたと、その後2020年11月14日・21日発売号の「週刊現代」が報じています。
具体的には、官邸との「窓口役」と言われる、原聖樹政治部長が山田真貴子氏の抗議の電話をうけたそうです。
有馬アナを降板に追いやった?
その後2021年2月10日に、NHKが3月いっぱいで有馬嘉男キャスターがニュースウォッチ9を降板することを発表しました。
有馬キャスターは丸4年同番組のキャスターを務めていることから、過去の同番組キャスターの任期からみると、交代時期としては不自然ではないが、親しみやすく好感度も高いため、番組降板には裏があるのではないかと騒がれていました。
週刊現代はこれについて、NHK有馬キャスターは「官邸を怒らせた」ために、降板に追いやられたと報じています。
つまり山田真貴子氏のNHK政治部長への抗議電話が圧力となり有馬キャスターを降板させた、ということです。
なおNHK側は「ご指摘のようなことは一切ない」と報道内容を否定しています。
この山田真貴子氏のNHKへの抗議電話について、山田真貴子氏本人から事実説明はその後もされていません。
菅総理の下で働く山田真貴子氏が独断で抗議の電話をしたとは考えづらく、菅総理からの指示で抗議の電話をした可能性も当然考えられます。
実際に菅総理は過去、安倍政権時代に官房長官を務めていたころ、
・NHK『クローズアップ現代』の国谷裕子キャスター
・テレビ朝日『報道ステーション』の古舘伊知郎キャスター
など、政権に批判的なキャスターを降板に追い込んできたと過去にメディアで報じられています。
しかし菅義偉総理は、11月25日午前の衆院予算委員会集中審議にて、山田真貴子氏がNHKへ恫喝めいた抗議電話をしたことについて問われると
「大変失礼ですけれども、私は怒ったこともありません。山田広報官に指示したこともありません」
「私はその辺のことの常識は持ってます」
と答弁し、否定していました。
報道内容が事実であれば、山田真貴子氏の独断で抗議電話をしたことになりますね。
今回の山田真貴子氏が接待を受けたとされる問題をきっかけに、過去のNHKへの圧力電話疑惑の真相について解明してもらいたいですね。