東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会長の森喜朗氏(83)が、2月3日に開かれた日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会の場で「女性がたくさん入っている理事会っていうのは時間がかかります」などと「女性蔑視」発言をしたことで国内外で問題視されています。
翌日2月4日には、謝罪会見を開き「オリンピック・パラリンピックの精神に反する不適切な発言だった。深く反省している」と述べ発言を撤回したものの、その後の記者からの質問に対して「逆ギレ」気味に答えており、「本当に反省しているのか」「説明不十分」の声が多く広がっています。
実は森喜朗氏の問題発言は今回が初めてではありません。
過去にも「女性差別発言」をしており、他にも数多くの問題発言をしているので振り返ってみます。
目次
森喜朗の過去の問題発言一覧
森喜朗氏の最近の問題発言から過去の問題発言を振り返ります。
2021年2月 JOC評議員会での女性蔑視発言
まず今回問題となった「女性差別」ととれる問題発言です。
2月3日のJOC臨時評議員会の場で、JOCが「女性理事を増やす」ことを目標とかかげていることに対し、JOC名誉委員として挨拶をした森喜朗氏は、
「女性理事を選ぶというのは、日本は文科省がうるさく言うんですよね。
だけど、女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります。」
多くのメディアで取り上げられているのはこの部分ですが、森喜朗氏はこのほかにも会議全体で女性蔑視発言をしています。
森喜朗氏が2005年~2015年にわたって会長の座に就いていた日本ラグビーフットボール協会を例に挙げ、
「(自分がいた頃と比べて)今までの倍時間がかかる。女性がなんと10人くらいいるのか?
今、5人?10人に見えるな」
と小ばかにする発言も。
「女性っていうのは競争意識が強いんです。
誰か1人が手をあげて言うと、自分も言わなきゃいけないと思うんでしょうね。
それでみんな発言されるんです。前の発言に関連したものではなく、思いのままに」
「結局、あんまりいうと、新聞に書かれますけど、…女性を必ずしも数を増やしていく場合は、発言の時間をある程度、規制をしていかないとなかなか終わらないで困る」
4日の謝罪会見では、
「JOCが人事の改革をされるのに大変苦労をしていた」
「政府からきているガバナンス(女性理事を増やす)に対しては、あまり筋のところでこだわるとなかなか運営が難しくなることもありますよ」
とアドバイスをしたと説明していますが、偏った持論を述べているだけに聞こえます。
またオリンピック開催に関して、
「オリンピック、ぜひ、どんなことがあってもやります。」
「要は、外国から来る一般のお客をどうやって水際で防げるかということです。
選手、役員、その他関係者はですね、割といい。あとはアプリをみんな持ってもらって。」
また芸能人の聖火ランナーに関して、
「聖火ランナーをやると人が集まるから、タレントは田んぼに聖火をもって走ればいい」
といった発言をしました。
この「オリンピックはどんなことがあってもやる」発言を受けて、愛知県・犬山市から聖火ランナーとして任命されていたお笑い芸人・ロンドンブーツ1号2号の田村淳さんは聖火ランナーの辞退を自身のYouTubeチャンネルで発表しています。
田村淳さんは、
「何が何でもやるんだと、国民を鼓舞して、強引に五輪をやって、誰が幸せになるんだろうと感じたんで、辞退を伝えました」
と語られています。
森喜朗氏の「タレントは田んぼを走ればいい」発言については、
「こういう発言を冗談なのか何なのかわかりませんけども、ポロッとしてしまうところが昔から森さんが変わってないと思いますし、人の気持ちを削ぐというか、僕はどうしても同意しかねる」
と語られています。
2003年7月 子供を持たない女性に対する差別発言
実は、森喜朗氏は過去にもこうした女性差別と思われる問題発言をしています。
2003年7月、自民党少子化問題調査会長だった森喜朗氏は、 少子化問題に関して、
「子どもをたくさんつくった女性が将来、国が「ご苦労さまでした」といって面倒見るのが本来の福祉。
子どもを一人もつくらない女性が、好き勝手とは言っちゃいかんけども、自由を謳歌し楽しんで年取って、税金で面倒見なさいっていうのは本当はおかしいんですよ」
と「子どもを持たない女性を否定」する発言をし、批判を浴びました。
2021年1月 「なぜ世論調査をするのか」発言
1月12日都内の講演会にて、世論調査で東京五輪の開催に中止・再延期を求める声が8割を超えていることを受けて、森喜朗氏は
「今のコロナで、こういう騒ぎでやっている時に「オリンピックどうですか?」と聞かれたら、何と答えますか?答えようがないでしょう」
「そういう時期に、なぜあえてこういう五輪をやるべきか、延期すべきか、中止すべきか、という世論調査をするのか。
世論の動向を見るのは大事なことだけど、これをこうして発表しなければならんのかなと。私には疑問がある。」
と発言。
緊急事態宣言が発令された1月7日にも
「不安?まったくありません」「やるのは7月でしょ」
と発言し、世論とかけ離れた発言に非難が声が多くあがりました。
2020年2月 「私は最後までマスクはしない」発言
2020年2月、新型コロナウイルスが日本で徐々に感染が広がり始めてきた時期に、都内で開かれた公式ウェアの発表会において、森喜朗氏は
「私はマスクをしないで最後まで頑張ろうと思うが、選手は気をつけてほしい」
2021年夏の五輪開催について翌3月にも、
「神頼みみたいなところはあるが、そうした気持ちが必ず通じていくと思う」
と精神論でコロナを乗り切り五輪開催を願うこの発言には非難が集まりました。
2014年2月 浅田真央選手に対しての問題発言
2014年2月、ソチ五輪で代表だったフィギュアスケートの浅田真央選手に対する問題発言です。
福岡市内での講演の発言で、
「見事にひっくり返っちゃいましたね。あの子、大事なときには必ず転ぶんですよね」
「転んだことが心の傷に残って、今度は転んじゃいかんという気持ちが強く出たのだと思いますね。ちょっと運が悪かった」
「日本は(団体戦に)出なきゃよかった。負けると分かっていた。浅田さんを出して恥をかかせることはなかった」
この森喜朗氏の発言に対しては、スポーツ選手たちからも批判の声があがりました。
世界的なスポーツの祭典を指揮する会長が、スポーツ選手に対してこういった発言をするのは、大変残念でなりませんね。
森喜朗の女性差別発言に対する世間の声
今回の森喜朗氏の「女性差別発言」と謝罪会見に対する世間の声をまとめてみます。
「日本の恥」
「すぐに辞任したほうがいい」
「なんでこんな人が会長?」
「逆ギレ会見」「開き直り会見」
「仕方なく会見したように見える」
など否定的な意見が圧倒的です。
仲には
「森さんって昔からそう」
「総理大臣のときからなんも変わっていない」
と呆れた声も。
また「周囲に森喜朗氏の発言を非難する声や止める人はいなかったのか」
と評議会に参加者の認識に関しても疑問の声が多く上がっています。
著名人の声をみてみると、国際政治学者の三浦瑠璃さんは森喜朗氏の発言をツイッターで否定し、「オリンピックの開催を支持できない」と発表しています。
リーダーは若者に大志を抱けと言いチャンスを与え続けなければならない。森さんは東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長でありながら、逆のメッセージを女性に伝えてしまった。それも会議の時間という小さなもののために。残念だがそのようなメッセージに基づくオリンピックは支持できない。
— 三浦瑠麗 Lully MIURA (@lullymiura) February 4, 2021
ツイッター上では、ハッシュタグ「#森喜朗氏は引退してください」「#森喜朗氏の退任を求めます」がトレンド入りするほど、森喜朗会長に対する退任を求める声が広がっています。